11月1日 そして、Life goes on

私は今、ずっと恐れていた2021年11月1日の向こう側にいる。

2010年の6月、12歳の私が大好きになったアイドルの終焉を見届けて、今この文章を書きながらなんて素晴らしい日々だっただろうとそればかり考える。

コンサートの最後、六人は横並びになって、私たちに繰り返し何度も何度も手を振って、明るいステージライトにのまれていなくなっていった。暗転ではなくて、明るいステージライトの眩しい光で見えなくなった。優しくて、綺麗すぎるほど、懇切丁寧な終焉だった。

 

人生で初めてCDを買って、ファンクラブに入って、コンサートへ行った。

初めて作ったうちわは作り慣れてない不恰好な「博」の文字。裏面は姉と分けて「V6」「ありがとう」と作って、わたしは「V6」側を持っていた。

好きになって11年とすこし。いつどんなものを好きになっても結局V6に帰ってきてしまうような、勝手に実家のような気持ちを持っている。親が呆れるくらい繰り返し同じライブDVDを見て、何度も何度もCDを聴いた。実家の私の部屋の隅っこでアンテナを目一杯伸ばせばなんとか電波が入るから、土曜日の夜九時は必死に齧り付いてラジオを聴いていた。中学生当時、通学カバンにつけたパンダのキーホルダーが自慢だった。どんなところが好きかなんて言葉にできないくらいたくさんあって、それでもやっぱり、いつも楽しそうでかっこいいところが好きだ。

 

発表があった日、仕事中に何気なくお手洗いに立ってスマホを見て不穏なメールに足元が沈んでしまうようだった。「大切なお知らせ」が楽しいお知らせだったためしなんて無くて、震える足で自席に戻ってから30分と少し発表までの時間がある中で必死に一番見たくない二文字の可能性から逃げるようにいろんな選択肢を思い浮かべた。ツアーが決まった?誰か結婚するとか?何を思い浮かべても、心の底に寒い予感がずっとしていて、4時にこっそりまた席を立った時、足も手も震えて止まらなかった。発表文を読んだ時、画面をスクロールする指が震えて全然先に進まなかった。結局一度しか読み返せていない。彼ら以外の人からの言葉を聞くのも嫌で、Twitterのトレンドはすぐ海外にして、ネットニュースは見ないようにして、それからぼんやり、「どうしよう」と思った。わたしにどうかすることなんて出来ないのに。

正直読んですぐは全く実感もなにもなくて(だってイノなきは3/14アイカツスターズ!の話をしていたし)、涙も何も出なかった。会社でオタクをカミングアウトしていないので、だれもV6の話をしていなくて、一人全く違う場所に放り出された気持ちだった。

夜、三宅担の姉から「どうしよう」とだけLINEが来て、いてもたってもいられなくてまだ外にいるのに電話をかけた。姉の声を聞いた瞬間涙が溢れてしまって、駅で号泣した。オタクなので自分を納得させたくてとにかく口が止まらなくて、きっとこうだから彼らはこうしただの、V6のこういうところが好きだの、でもやっぱり解散なんて望んでないだの、勝手に口が動いて涙が止まらなくて、どうしようもなく彼らが好きだとだけ思った。

発表があってからおよそ半年。終わりに向かってゆっくり進む電車の中で、彼らの何年分ものたくさんの記憶一つ一つを辿ってきた。正直解散するという事実が辛くて直視できない時もあったけれど、どれも煌めいていて一つも後悔がない。この文章を打ちながら喉の奥がカッと熱くなって、知らない間に涙ぐんでしまうくらい、わたしにとってV6は美しい記憶の集合体だ。

 

ファンになったのは2010年の6月。ちょうど15周年のコンサートが終わったばかりで、次のシングルリリースを控えているタイミングだった。姉が何気なく動画サイトでV6の映像を見てハマって、影響されて一気に好きになった。

具体的なきっかけは思い出せないけれど、気づいたら長野くんを「自担」と認識していて、V6が出演する歌番組やドラマを追うようになっていた。それまでも、テレビを録画してみる程度のお茶の間ファンはやったことがあったけれど、私が明確にジャニオタになったのは間違いなくV6が一番最初だった。コンサートの行き方も何も知らなくて、とりあえず当時出ていた一番新しい円盤(VIBES)を購入して、繰り返し繰り返し再生した。今でも親の車でV6を流すとVIBESのセトリが頭に染み込んでいるらしく先に次の歌を親が歌い始めたりする。

初めてコンサートへ行ったのは2011年のSexy, Honey, Bunny!。炎天下のグッズ列に並んでいたら、あまりにも私がしんどそうだったのか前に並んでいるお姉さんに「場所取っておいてあげるから飲み物買っておいで」と声をかけてもらった。優しいファンの人、レーザービームの海で歌い踊るV6、会場の熱気。今もはっきりと脳裏に焼き付いている。

そこからずっと、V6はいつも最新が最高だと実感しつづけて今がある。

 

V6をきっかけに他のジャニーズにも触れた。24時間TVで共演したHey!Say!JUMPのファンになったし、J-FRIENDSを聴いてTOKIOKinKi Kidsのことも大好きになった。

映像が見つけられない代わりに読んだ恩田陸さんの「ネバーランド」をきっかけに本を好きになったし、V6のメンバーが出演している舞台をきっかけに観劇も好きになった。曲提供をしてくださったアーティストさんの音楽が好きになったり、自分の人生とは全く関わりのなかった場所や人と出会い、好きになった。V6のおかげで私の人生は大きく広がって、好きなものがたくさん増えた。感謝してもしたりないほど人生にたくさんの彩りをもらった。

そして彼らを応援することを通して、逆に彼らにたくさん応援してもらっている。高校受験の朝、センター試験の勉強中、二次試験へ向かう電車の中、就職活動の直前、初出勤のバスの中。勇気が欲しいとき、HONEY BEATやスピリットを繰り返し聴いた。

 

最後のコンサートと銘打たずにコンサートをするところが好きだ。解散コンサートとかラストコンサートとか、人を惹きつけようと思えばいくらでも利用できる言葉や演出を使わず、最後の最後まで最新が最高であることを教えてくれる。

11/1のコンサートもそうだった。ひとときも手を緩めない本気の「かっこいい」に打ちのめされっぱなしで泣いてる場合じゃなかった(めっちゃ泣いたけど)。私は今回のツアーで彼らが特に見せたいのは雨からFull Circleまでの流れだと思っていて、そのあとSweet daysからは私たちへのプレゼントだと解釈している。そのせいなのか、現地に行ったときも配信を見た時もSweet daysからが涙のピークになる。楽しそうなV6を囲むたくさんのファンの笑顔。「愛を確かな今に」と繰り返す、魔法のような歌声。

いつもならオーラスはトリプルアンコールとかダブルアンコールがあるが、今回はそれもなかった。全てが平等に特別で、全てのファンに同じものを見せようとしてくれているのだと思う。

そう、それで最後の楽曲が95 grooveだったわけですが、この曲が本当に好きだ。聴くたび泣いている。シングルカットされている訳でもなければ、アルバムの表題曲でもない。ラストシングルのc/wとしてリリースされたその曲。

「どこの君もずっと 幸せでありますように」

「本日は最後の日で 君の隣踏んだステップ」

明るくて爽やかで、でも少し寂しい。V6の完結にこれ以上ないほど大正解の楽曲だった。これを全て歌い終わって一番最後に持ってくるのが本当によかったな。寂しくて別れがたくて泣いてばかりだけど、曲が終わる頃にはどこか清々しく笑顔になってしまう。寂しいことには変わりないけど、これが本当の意味の最後ではないと信じさせてくれる。

 

最後の挨拶は井ノ原くんに振られなかったら他メンバーの言葉は聞けなかったかもしれない。言葉で素直な気持ちを吐露するのが苦手な人たち、愛おしかった。

剛くんが何度も「俺たち六人」と言ってくれたことや、「惜しまれながら終わることは間違ってない」と言ってくれたこと、嬉しかった。やっぱり事務所を出てしまうことへの寂しさは拭えないけど、剛くんにとってこの26年が楽しいものだったことがわかってよかった。

坂本くんがこの先の話をしてくれたのも嬉しかったし、井ノ原くんが一人一人の顔を見ながら「楽しかったね、楽しかったね」と繰り返してくれていたのも嬉しかった。

最後のメッセージは、本当にずるいよな〜〜〜〜〜〜。「26年間幸せでした」「笑っていてね」「またどこかで」なんて言われると、またどこかで六人に会えるまで頑張るしかないもの。幸せをもらい続けてきたのに、「幸せでした」と言われてしまった。彼らの感じる幸せの一端を自分が担えたのかもしれない。

とにかく大好きだと感じ続けている。そう思える最後のコンサートで良かった。

自分が入った大阪公演の後、私は6つの光、たくさんの奇跡の収束点に立っているんだ!と感じた。最終公演を見た後は、彼らが26年かけて打ち続けてきた一つ一つの点が、今大きな一枚の絵になっているんだとも感じた。六人でぐるりと一周、大きな円(彼らでいうところのWA)を描いてくれたこと、本当に嬉しく思う。それを自分の目でみることが出来て良かった。

 

……めちゃくちゃしんみり書いているのに11/1から11/2になって20分した頃には健くんのラジオに酔いどれの井ノ原くんと着いてきた長野くんが乱入してメンバーみんなの名前を呼んでいた。恐れていた11/1の向こう側には何もタブーなんてない6人それぞれの未来が広がっている。

ラジオではコンサート終盤の挨拶でずっと涙目だった長野くんへのクレームやMCで喋ると泣いてしまいそうだったから喋らないと言っている健くんがいて笑ってしまったな。できる限りいつも通り、ただ楽しいMCをほとんど一人で回していた井ノ原くんも実際は泣きそうだったと言っていて、不器用で愛おしい人たち……となった。

解散を発表した日から11/1まで一度も謝ったり申し訳なさそうにしなかったこと、そういう言葉や態度から彼らの覚悟や愛がたくさんたくさん伝わってきた。

 

11/1を迎えて6人は完結した、はずなんだけど。「君に出会えたことが嬉しい」と歌う新しく解禁された新曲。FC会員に送られてきた家族写真。未来の子供たちに残された木。数ヶ月もすればパールのネックレスが届くし、V-landとかいうとんでもないアプリも後数週間遊べる。事務所に残るメンバーたちからはそれぞれ「らしい」記念品が届いた。

MAGIC CARPET RIDEの歌詞のように「音楽だけが時代を超える」のかも。

永遠なんてないけど、あの煌めきはずっと彼らの音楽に刻みつけられて時代を超え続ける。

 

やっぱり寂しいけど、彼らが見つめる未来を私もまた一緒に見られるように元気にやっていこうと思います。愛してるよ。大好きだよ!ずっとありがとう。これからも末長くたくさんよろしく。いつかまたどこかで。

きっとここから、愛なんだ!